masa 3 たとえば「ブルース?ブラザース」が純粋なコメディだとすれば、こちらはハートフルコメディになるのだろうと思います。いわゆる、泣いて笑って、というヤツ。お話しとしては、マジメにやればマジメになるお話し。そのお話しだが、ロックンローラーの姿を描くことがメインでは、ない。ロックスターでなくとも誰でも感じることのある、中年のやり場の無い焦りみたいなものが中心になっている。オレの人生はこのまま終っていくのかな、なんていうアレ。そこで、若かりし頃の夢よもう一度、という話が持ち上がる。また「ブルース?ブラザース」をひきあいに出せば、あちらは「俺たちは神の使いだ」という理不尽な根拠でメンバーを集めていたのが、こちらでは「今の生活に満足しているか?」の一言でメンバーの心の隙間を突く。しかし、とにかくやることなすこと全てが上手く行かない、という形でストーリーは進んで行き、中年達の行動は破綻を迎える。と言葉で言うと簡単だが、そこに至るまでのエピソードの積み重ね、フラストレーションの溜まり方、がテンポ良くまったく退屈させないのが見事。そして、現実なら破綻してそれでおしまい、となるところに、フィクションならではの奇蹟が起こる。その結末はロマンチックと言って良いものだと思う。中年が純情で何が悪い、中年がロマンチストで何が悪い、そういう映画。